特定非営利活動法人
イーストベガス推進協議会

カジノ会社幹部「お台場は今も有力候補地だ」

都市圏型の話題ですが、最近はあまり聞かない候補地についても書かれています。

 

カジノ会社幹部「お台場は今も有力候補地だ」

[東洋経済オンライン 2016年04月08日]

お台場はいったいどうなるのだろうか。2009年の様子(撮影:今井康一)
かつて「観光立国」のための起爆剤として位置づけられていた、カジノなどを含む統合型リ ゾート〔Integrated Resort(以下 IR)〕構想。政府は2020年東京オリンピックに向けて、IR開業に向けて動いていたが、いまだにIR推進基本法案が成立するメドは立っていない。3月 末になって内閣官房の特命チームが業務を凍結する方針を固めるなど、その先行きは不安定なままだ。
こうした中、IR大手のラスベガス・サンズの子会社、マリーナベイ・サンズ(シンガポー ル)は、4月1日から日本向けプロモーションを開始。このキャンペーンのために来日した、マリーナベイ・サンズの社長兼CEOのジョージ・タナシェヴィッ チ氏に、日本へのIR進出の展望などを聞いた。タナシェヴィッチ氏は日本進出に向けたプロモーション活動を幅広く行い、カジノ立地を希望する多くの自治体 幹部と人脈を持つ、キーマンだ。

 

――マリーナベイ・サンズに宿泊する外国人の中で、日本人観光客の割合はすでに一番大きい。今回キャンペーンを打つ目的は?

日本は我々にとって重要なマーケットで、これまでの動向から考えても、さらに大きく伸びていく手応えがある。まだまだ日本は手がつけられていない部分が多い市場とも感じている。

マリーナベイ・サンズは、カジノだけでなく、それ以外のラグジュアリーなアトラクションが、とてもたくさんある。世界的にも第一級の施設を持っている我々のIRを、より身近に知っていただく機会になるだろう。

IRの理解を深める啓蒙活動を進めている

――今回のキャンペーンで、日本での認知は高まる。日本進出の構想とも関係はあるのか。

チャンスがあれば、日本でも是非やりたい。今回のキャンペーンの目的は、あくまでもマリーナベイ・サンズを日本のお客様にさらに知っていただきたい ということだが、二次的な波及効果として、日本におけるIRの展開へのご理解とサポートを得られることにつながるかもしれない。

私も、日本でIRを展開する可能性を探るために、何度も日本を訪問している。その中で、政治家、財界、学術界、市民団体など、色々な方々にお会いして、IRの認知を高める啓蒙活動している段階だ。

――活動の手応えはどうか。

政府は、IRがどのようなもので、どういったことができるかということを、細かくデューデリジェンスしている段階だと思う。我々のビジネスモデルの 特徴である、MICE〔企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文 字〕にフォーカスしたIRが、日本の市場にどういった貢献ができるのかを、例えば税収や、観光、海外からの投資の可能性といった観点から情報提供し、サ ポートしている。

マリーナベイ・サンズ社長兼CEOのジョージ・タナシェヴィッチ氏(撮影:田所千代美)

政府には、日本の経済や雇用の状況に与える影響についてはかなりポジティブに受け止めていただいていると思うし、リスクについてもきちんと管理をしていけるということをご理解いただいている。

――日本の文化に、カジノは馴染むものなのか。

日本には既にパチンコをはじめとして、競馬、競輪、宝くじなど様々なものがあるので、文化的に受け入れられることについては、全く心配していない。

日本の皆さんに理解していただきたいのは、IRと言っても、カジノの部分は本当に小さなスペースでしかないということ。そのカジノも、国際的にも洗練されたオペレーターが、厳しい規制のもとで運営していく。

競争はせず、パイを大きくすることを考える

――IRと言っても様々な形があるが、日本で展開する場合はどういった特徴が出てくると考えられるか。

我々が世界各国で展開するIRのコアの要素は、どこの都市で作るにしても入ってくるだろう。ただ、それを具体的にどうプログラミングするのか、ある いはどのような規模感にするのかは、市場によって変わってくる。そういった意味では、IRの設計に、方程式のようなものが杓子定規に存在するわけではな い。我々が新しい市場に入っていく時にまず最初にするのは、その市場にすでにあるものとないものが何かを見極めること。我々が入っていくことで、補完して より強くできることをカスタマイズした形で設計していく。

例えば、東京ビッグサイトともミーティングを重ねていて、どういったことができるか話をしているが、我々が東京に来ることを歓迎していただいてい る。彼らのビジネスと我々が展開するMICEにフォーカスしたIRは補完関係にあるし、より大きなものにしていくことができるだろう。既にあるものと競争 していくことはしない。1つのパイを争うというよりかは、どうやったらパイ自体を大きくできるのかを考える。

 

――東京都知事が舛添要一氏に変わってから、お台場カジノ構想へのトーンが落ちているが。

タイミングという意味では、東京都は2020年のオリンピックに目が向いているという段階という印象ではある。非常に大きなイベントだし、何より日 程が既に決まっている。そこに向けてたくさんやるべきことがあるので、優先的に注力していることは理解できる。それがいったん落ち着いてきたら、もう一度 カジノ構想に目が向いてくるのではないか。

屋上のインフィニティプールが有名なマリーナベイ・サンズ

――そうすると、動くタイミングはオリンピック後ということに?

親会社であるラスベガス・サンズが判断することなので、私からタイミングをお伝えすることはできないが、我々としてはオリンピックの前に何らかの動 きがあるとよいと考えている。オリンピックは多くの観光客が訪問し、経済効果も大きい。しかし、いかんせん3週間と期限の限られたイベントでもある。その 後、何が起きるかということを今から考えるべきだ。

2020年の段階でIRが既に存在すれば、東京オリンピックを起爆剤とした大きな動きを、そのままスムーズに継続させることができる。2020年以後の東京のあり方から考えても、オリンピック前に動くことができるとよい。

東京以外なら、横浜か大阪が候補になる

――やはり、IRを作るとしたら東京のお台場ということになるのか。

お台場が一番手の候補になっていることは事実だが、限定する必要はない。オープンに色々な場所を候補として考えていきたい。ただ、我々はレジャーだ けでなく、ビジネス向けのお客様もターゲットにしており、その割合も同じくらい。投資については100億ドル程度と、かなりの額を考えているので、我々の ビジネスモデルが機能するのは大都市圏に限られてくるだろう。

――そうすると、その他の候補になる都市は?

横浜と大阪だ。特に横浜市には、大きな関心をもっていただいている。マーケットサイズという点からみても、大きな国際空港にアクセスがよいという条 件を満たす必要があり、また、訪問する外国人の数が年間数十万人という単位では難しい。最低でも数百万人単位でなければならない。我々のビジネスモデルで あるMICEにフォーカスしたIRという形が、圧倒的な強さを誇るものを作りたいので、それ以外の都市を候補に入れることは基本的に難しいと考えている。

ソース:http://toyokeizai.net/articles/-/112474