特定非営利活動法人
イーストベガス推進協議会

朝日・毎日への反論(11) 「反対ありき」のカジノ反対報道は読者を欺いてはいまいか?

最近特に声が大きくなってきた「反対ありきの反対論」に対して、真っ向から反論しています。

 

朝日・毎日への反論(11) 「反対ありき」のカジノ反対報道は読者を欺いてはいまいか?

2014.10.22 11:00 産経ニュース

カジノを含む特定複合観光施設(IR)の整備推進に向けた「IR法案」が今国会で本格的に審議されるのを受けて、新聞各紙はこの法案を積極的に報道するようになってきました。しかし、その焦点はカジノ解禁の是非に矮小(わいしょう)化されているうえ、朝日、毎日両新聞をはじめとするカジノ解禁反対論は、法案の内容を無視した「反対ありきの反対論」なので、今回はこれをテーマに書きたいと思います。

中でも最も強く反対論を展開しているのは毎日です。毎日は13日付で「カジノ法案 解禁ありきに反対する」と題した社説を掲載しました。一方、朝日は法案が提出された先の国会中の6月23日付で「カジノ解禁? 危うい賭けには反対だ」、10月20日付で「カジノ法案 懸念材料が多すぎる」とそれぞれ題した社説を掲載しました。

集団的自衛権行使のための憲法解釈変更の際もそうでしたが、この法案に対する反対論も、両紙は内容をすり合わせたかのように反対の根拠はそっくりです。集約すると、カジノ解禁に反対する根拠は、(1)不正な資金洗浄(マネーロンダリング)、暴力団のような反社会的勢力に利用される(2)ギャンブル依存症に陥る人が増える(3)青少年や地域社会の治安に悪影響を与える(4)運営は海外の業者に頼らざるをえず、利益は国内ではなく海外に吸い取られる(5)アジア各地にはすでにカジノがあり、競争に勝つのは容易ではない-の5点です。

しかし、これらについて実は、法案にはすでに対策を講じることが明記されているのです。そのことに一切触れず、法案があたかも対策無しに、ひたすらカジノ解禁に突き進むものであるかのような主張を展開するのは、事実を伝えないまま、読者を自らの主張に同意させようという「扇動」と言わざるをえません。

朝日は16日付から3回にわたってカジノ解禁の「深層」を探るという企画を連載しましたが、その内容は海外のカジノをめぐる現状や国内の誘致活動を、どちらかといえば言い古されてきた負の側面を紹介しただけで、肝心の「IR法案」についての解説はありませんでした。これでは読者は「日本でカジノができると問題ばかりが起きる」と思い込んでしまいます。そういう意図をもってのことなのかもしれませんが、企画の中で法案の内容に一切触れられなかったことから、私は「できの悪い企画だな」と思ってしまいました。

今、新聞は朝日の慰安婦報道や「吉田調書」をめぐる誤報問題で、あり方が問われていますが、この法案に対する朝日・毎日の報道を見る限り、その反省は全く生かされていません。

そこで、ここでは反対論の5項目それぞれについて、法案がどのように規定し、法案を作成した超党派の国際観光産業振興議員連盟がどのような方針を示しているか、事実を正確に伝えましょう。

(1)について、法案は10条3項で「カジノ施設の入場者から暴力団員その他の不適当な者を排除するために必要な規制」を講じるとしています。また、議連が昨年11月にまとめた「IR法案に関する基本的な考え方」も「カジノ施行の参入要件と行為規制を厳格に規制し、暴力団などによる関与を完璧(かんぺき)に排除する」、「国際機関であるFATF(金融行動タスクフォース)勧告に基づき先進諸外国と同等の規制により、マネーロンダリングを防止する」としています。

(2)について、法案は10条8項で「カジノ施設に入場した者がカジノ施設を利用したことに伴い悪影響を受けることを防止するための必要な措置」を講じるとしています。議連の「基本的考え方」も、「賭博依存症問題対応のための国の機関を創設し、中長期的な対応策や短期的対処プログラムの策定、治療やカウンセリング態勢整備の支援を行う」としています。

(3)について、法案は10条7項で「青少年保護のため必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置」を講じるとしています。議連の「基本的考え方」も「施行者に入場者全員の本人確認を義務づけることにより、青少年の入場を完全に排除する」、「施設内外は監視、警備の対象となり、地方警察組織と連携、協力して地域の環境悪化を防止し、秩序を維持する」としています。

(4)について、法案はカジノを解禁する地域をまず、国が誘致を希望する地方自治体の中から指定し、指定された自治体が運営にあたる民間事業者を選定するという仕組みにしています。したがって、カジノを運営する業者をどこにするかは自治体の選定にかかっており、そこで利益が海外にだけ流れることのないよう、バランスをとって選定すればいいだけの話です。そもそもIR全体の利益からすれば、カジノの収益はごく一部で、大半はIR内の宿泊、商業、エンターテインメントなどの施設で得られますから、この反対論はIRを全く理解していない議論といえます。

(5)については、この法案ほど精巧な仕組みを構築してカジノを実施している国はありませんから、日本は他国とくにアジア各国よりもずっと魅力的なIRにすることができるはずです。さらに日本が持つ自然や伝統、文化などの観光資源や「おもてなし」の精神があることを考えれば、他国に負けるどころか、大きく上回れると思います。

したがって、朝日・毎日をはじめとするカジノ解禁反対論は、法案を全く理解していないか、あえて意図的に触れていないかという稚拙または悪質なものなのです。一方、読売は17日付で「カジノ解禁法案 弊害の議論が浅薄では困る」と題した社説を掲載しましたが、これはきちんと法案が「ギャンブル依存症の拡大への懸念を踏まえ、日本人の利用制限を政府に義務づける規定を加える」ことなどを紹介しています。主張を掲げるなら、このようにまず事実を踏まえたうえで議論を展開すべきです。

産経新聞は私が中心となって、カジノを含むIRについて、議連が発足した平成22年から丹念に取材し、議論の内容や法案の全容を詳しく報道してきました。これに対し、他紙は実現性がないとみていたのか、議連が報道陣に公開して議論してきたにもかかわらず、全く取材をせず、報道もしてきませんでした。

それを法案が国会に提出されてから、慌てたかのように無知な報道を展開するのは、報道機関としていかがなものかと思います。報道するなら、改めてしっかり取材をし、法案の内容や議連の基本的考え方を踏まえたうえで行うべきです。もし今国会で法案が成立したら、反対論を展開している朝日、毎日などは「議論不足」とか「拙速」といった批判を展開するかもしれません。しかし、議論してこなかったのはあなたたちの方であって、そんな批判をする資格はありません。

そんな状況ですから、国民の方々の多くも法案が成立したら、全国のあちらこちらに次々とカジノができて、国内の風紀が一気に乱れてしまうと思っているかもしれません。しかし、そうではなく、今回の法案が成立したら、政府がさまざまな措置を具体的に規定した実施法案を提出し、それが成立して初めてカジノは解禁されるのです。しかも、カジノを含むIRを整備するのは当面は全国に数カ所、将来的にも10カ所程度とすることになっています。パチンコ店のように全国至る所にできるわけではありません。

大体、朝日や毎日などがギャンブルを「悪」としてとらえる論調を掲げるなら、競馬などの公営ギャンブルやパチンコなども止めるべきだと主張すべきです。しかし、競馬などは自分たちの新聞で予想や結果を掲載しているではありませんか。また、新聞には多くのパチンコ店のチラシが毎日のように入っているではありませんか。ギャンブルに反対するなら、その新聞はこれらを止めるべきです。それを棚に上げて何を言っているのかと言いたくなります。

私はこのコラムで、朝日、毎日両紙の主張に対する反論を11回にわたって書いてきましたが、集団的自衛権にしても、特定秘密保護法にしても、慰安婦問題にしても、どうして両紙は自らの主張に同意させようと意図的に事実に反した、あるいは事実を隠した主張をするのでしょうか。

もういい加減にこんな読者を欺くような報道はやめましょう。カジノを含むIR法案についても、事実を踏まえた報道をし、国民が正しい知識のもとに冷静かつ客観的に議論をできる環境を作ろうではありませんか。それが今問われている新聞のあるべき姿だと思います。(長野支局長 高橋昌之)

ソース:http://www.sankei.com/politics/news/141022/plt1410220001-n1.html