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カジノ誘致、争点に 横浜市長選 長島・元衆院議員が出馬表明

カジノ誘致、争点に 横浜市長選 長島・元衆院議員が出馬表明

2017/1/12 7:01  日本経済新聞

 

 元逗子市長で元衆院議員の長島一由氏(49)が11日、横浜市役所で記者会見を開き、8月に予定されている市長選に無所属で出馬する考えを表明した。横浜市が前向きなIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致について反対の考えで、「カジノにイエスかノーか、市民の意見を聞きたい」と強調した。同市長選の事実上の幕開けといえ、カジノの是非が大きな争点になる可能性が出てきた。

長島氏は同日の会見で、開口一番「行政がギャンブルを推奨したら世も末」と指摘。市がIR設置のための土地整備を検討していることに触れ、カジノに市の土地を提供することを批判した。

市が強調するIR建設による税収増についても「生活保護世帯のギャンブル依存症の増加により、61億円分の税収増試算を帳消しにするどころかマイナスに転じる」との見通しを発表した。一方で「経済振興のため、臨海部再開発は進める必要がある」として、ホテルやテーマパークが中心の施設を誘致すべきだとの立場を示した。

子育て支援策についても政策の違いを明確に打ち出した。横浜市が大々的に打ち出した2013年の「待機児童ゼロ達成」を、「ゼロと言っても(統計に表れない)『隠れ待機児童』の側面が除かれており誇大広告だ」と強調。さらに「働く父母のために待機児童解消を目指すなら、中学給食をやらないのは矛盾」として、中学校給食の実現を掲げた。

IRをめぐっては、昨年末に整備推進法が成立。同法の施行後1年以内に、カジノの運営方法などを盛りこんだ実施法案が国会に提出されることになっている。全国で複数の自治体が誘致に前向きな姿勢を示しており、横浜市は山下ふ頭などを候補地として準備を進めている。地元経済界などからは、外国人客増加の起爆剤として期待する声が強い。一方でギャンブル依存症を懸念する声も多く、林文子市長は誘致表明前に、市民との対話の機会を設けていく考えを示している。

長島氏は川崎市出身。フジテレビ記者などを経て、1998年から8年に渡り逗子市長を務めた。2009年の衆院選に神奈川4区から当時の民主党(現・民進党)の公認を受けて出馬して当選し、1期務めた経験がある。現在はNPO法人の理事長などとして活動している。

今夏の横浜市長選で出馬表明したのは長島一由氏が初めて。前回の2013年の市長選では、林文子市長が自民、公明、民主(現・民進)3党からの推薦を受けて出馬し、元市議らを破って再選した。

今回も現職の林市長が3選出馬するかどうかが焦点になる。

林市長は11日開いた定例の記者会見で、出馬について「私自身まだ考えられていない」と明言を避けた。

同市長選では、民進党にもカジノ反対を掲げる候補者の擁立を模索する動きがある。民進党の対応などにより、選挙の構図が大きく変わる可能性がある。

ソース:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB11H82_R10C17A1L82000/